【ΒL小説感想】「黒猫にキスを」鈴木レモン/湊はつはる
「小説家になろう」の18🈲版であるムーンライトノベルズで人気だった作品の書籍化です。18🈲と言ってもあくまで工口描写が含まれるというだけで、そっち中心じゃない、かなりしっかりしたお話ですが。
実はWEB版のファンで、何度も読み返しているお気に入り作品でして・・・書籍化と聞いて正直色々不安になったんですが、かなり最高の作品になってます。めちゃくちゃおすすめ。
以下ネタバレ注意です。

あらすじ

王宮では影の薄い、「技術魔術団」に所属する魔術師ニデル。派手な活躍も無く、若いというだけで会議の出席を押し付けられる損な仕事もある。彼はそれなりに地味で穏やかな生活を送っていた。
そんな中、招待している他国の王子をひそかに警護する任務が入ってくる。誰にも知られず警護対象に近づくため、得意の変身魔法で黒猫へと変化し、毎晩幼い王子をそばで見守ることに。
そして王子の正式な護衛には、以前から親近感を持っていたエリート騎士レガートが就いていた。初対面以来まともに言葉すらかわしたことのない彼に、黒猫の姿で急接近する羽目になる。
親近感だったはずの感情は、ゆっくりとした交流を通じて少しずつ愛情へと変わっていき……。

感想

WEB小説版からかなりの書き下ろしが追加され、大大大ボリュームアップしてます! ファンにはめちゃくちゃ嬉しい! イラストもクセのない可愛い感じの絵柄で、読者の想像を変に裏切ったりしません。きちんと丁寧に描かれています。
この小説は、地味なニデルとエリートながら苦労性のレガートという2人が、事件を通じてなんとなく仲良くなり、親密過ぎて工口いこともするようになり、でも恋人というわけでもなく……というお話です。
ニデルはちょっと斜に構えた性格ぶってますが、実は真面目で良い子です。生真面目なレガートの事を眩しそうにいつも見ていて、ちょっと憧れつつ、親近感からひそかに応援してるくらい。
レガートは職務に忠実で、ニデル曰く貧乏くじを引くタイプ。でも若いのに分隊長なんかやってて、エリートさんです。
この主役二人がすごく良い奴でぐいぐい感情移入させられるし、周りのモブも嫌な奴はいません。すごーく安心して読んでいられる。(いやな事があった日とか、WEB小説版を一気に読み返したりしてたくらい)
友達とじゃれあってる感覚で工口いことしてたら、周囲から恋人認定されて、さてどうしよう。という所からお話はレガート視点へ。
レガート、仕事では真面目だけど、こっち方面は結構流されやすい人でした。
ニデルに好意を持たれてるのが分かってて、こんな風に周囲に流されているのは不誠実だよな、と悩みます。もともと女性と結婚する人生を考えてた人だからね、ニデルとどうこうなる事をきちんと考えていなかったのは結構しょうがない部分も。
でもこんな風に相手を想って、自分は嫌な奴だと悩む時点で、レガート、お前ニデルの事相当好きだろ……とじれったい! 切ない!
仕事の都合で一旦遠方へ派遣され……レガートの出世や人生を心配するニデルからは「この機会に距離を置こう」と言われ……その間もニデルの事を考え続けて……よーやく自分がいかにニデルのことを好きになっていたかを自覚するレガートさん。
ここからはもう、溺愛一直線です。ちょい鈍な真面目くんだったのが、ものすごく甘々に。ニデル愛されてる……良かったねぇ……と涙ぐみそうに。
んでもって後半は書き下ろしの「結婚式」にまつわるお話に。
いやもう、結婚式ですよ? WEB版ファンを萌えコ口す気ですか鈴木先生!? これはもう、読んで確かめて欲しい幸せカップルっぷりです。
しかも本編の合間合間にも書き下ろしで、モブたちがいかに二人がくっつく過程に関わっていたのかという、裏話的なストーリーも披露されています。むしろ書き下ろしで「名前付き」の重要人物が出てきてビックリしたよ。こんな人が裏で動いてたんだ~みたいな。
後半はずーっとニデルとレガートが幸せそうにしてるんで、いやもう、ありがとうございます!ごちそうさまです!って感じ。ファンなら絶対楽しく読めます。満足感の半端ない読後感っす。

まとめ

少女漫画度:★★★★☆
男っぽさ度:★★☆☆☆
せつない度:★★★★☆
ラブラブ度:★★★★★
万人向け度:★★★★☆
総合:★★★★★
ファンタジーΒLで、エリート騎士x可愛い魔術師なんで、かなり少女漫画的です。男っぽさはかなり少ないと思う。
かなり切ないけど、すごく切羽詰まってる感じでもなく、地に足のついた切なさ。現実的で感情移入しやすいです。
ラブラブは言うまでもなくw 人物にクセが無いんで、ファンタジーΒLがOKな人なら基本誰にでも勧められる一冊。
とりあえず気になった人は、WEB版を読んで! それで「良い!」って思ったら絶対これ買った方が良いです!
WEB版読んだ上でお金払っても後悔しない出来だから!!
鈴木レモン先生の、今後の活躍にも期待です。ちなみに、これ以外にも凄く良いΒL小説、そしてΤL小説もムーン上で書かれています。とりあえず全部読んで損は無いぞ!