【ΒL小説感想】「そらのだいじな旦那さま」野原 滋/サマミヤ アカザ
名前はなんとなく覚えてるけど、おそらく読んだことがない作家さん。ざらっと著作リスト見ても、ポップな感じであんまり好みの作風じゃなかった。
でもこれは和風ですごく良い意味で地味というか、しっとり系のBLでした。良かったですよ。

主な内容&感想(若干ネタバレ注意)

あらすじは、忌み子として実の親から疎まれて育った「捨」(すて)という少年が、強くて優しい旦那様に見つけて貰って、幸せになるって話。
好きな人は大好きな、安定の恋愛話だね。自分も好きだよ。
無垢で健気な受と、美丈夫な攻 領主の息子ながら、双子の弟として生まれたことで不吉がられた受。お産で母が命を落とし、実の父からは顧みられず、馬小屋で生活し厩番の夫婦に育てられるという不憫っぷり。
それでも誰も恨まない大人しい捨。
16歳になってやっと父親から呼び出しがあったかと思ったら、可愛がられている双子の姫の代わりに嫁に行けと命令されるけど、「父の役に立てるなら」と従うほど。

攻は小国の若殿で、嫡男では無いものの賢く武勇にも優れていると人望も厚い。完全にデキる男タイプ。しかも優しい。
別に戦シーンがある訳でもなく、頭の回転を見せつけるシーンがある訳でもないので、他のキャラの台詞とか本人の雰囲気とかで分かる程度ね。
現代もののBLにありがちななんでもできちゃうエリート様感はあんまりなくて、鼻につかない。

しょっぱなから出会って、嫁入り
冒頭で家を追い出されるように嫁入り一行として旅立つんだけど、途中で相手国の護衛が合流。
そこに大将として紛れ込んでいる攻。定番の出会いっすね!
心細い受に優しくしてくれて、道中色々面倒を見る攻。
受は「相手の若君もこんな方だったらいいのに・・・」とドキドキ
攻も健気な受の様子にがっつり惹かれていくという。まさしくザ・王道。

男バレからの屋敷生活
嫁入りして速攻男とバレて、重臣たちからは非難轟轟。(普通に考えてコケにされてるから)
攻が「これは俺の嫁だ」と主張してその辺の説得を一手に引き受け、受は自分の屋敷へと早々に避難させちゃう。
辛い思いをさせたくないんだろうなー。
屋敷にはお付きの男が常駐して、嫡男の小さい男の子がたまに遊びに来る。
肝心の攻は話し合いが難航したりでなかなか屋敷には立ち寄れず・・・とちょっと焦れ焦れ。
でも結局は受の虐げられっぷりまで調べつくされて、攻が完全に溺愛モード入るだけなんだけど。

脇キャラは最低限
主人公カップル以外は殆ど無名モブ状態。唯一嫡男の少年と、お付きの男が脇役として結構頑張ってるくらい。
最初はこの嫡男がかなり嫌な登場の仕方をして「嫌いなタイプやー」と思ったんだけど、普通の子だった。
なんかお付きの男と掛け合い漫才じみた事してるし。
脇キャラがあんまり出張ってない分、主役の恋愛がじっくり描かれてる感じ。別段事件もないし(ラスト近辺以外)結構日常系に近いかも。

総合評価

和風で派手じゃなくてでも溺愛系っていうコンボがたまらん。
正直これなら朝チュン展開でも良かったんじゃないかって言うくらいまったりしてる。
(最近読んでないけど、ウイングスとかそういう描写のないレーベルもあるよね?)
受が育ちのわりにやけに上品だけど、まぁスレてる子よりこっちの方が絶対良いからいーや。
攻も受を大事にしてるのが伝わってくるし(若干暴走もあるけど)。
むしろ殆どのシーンが屋敷に隔離されてるような状態で、マジ2人の世界。
辛い展開はいらん、溺愛をよこせって人向け。
よくよく考えると、表紙がすべてを物語ってるな~。和もの、ラブラブ、嫁系受、溺愛攻、2人の世界・・・うん、表紙を見ていいなーって思ったら買いだね。